世界切手国めぐり

サンマリノ

観光に目覚めたフィラテリストの共和国 サンマリノ
●…収集家向け切手発行の老舗

 今でこそフィラテリストを意識しない郵政は、まず皆無と言えますが、イタリアの中部にある面積わずか61平方`b、人口2万5千ほどの小国サンマリノは、100年以上も昔から“切手立国”を目指してきました。

 もし、少年時代に一度でも切手を集めたことのある方なら、本箱の片隅にしまい込まれたアルバムに、何枚かのサンマリノの切手が眠っているかも知れません。そしてある日、切手に興味をもちはじめた小学生のお子さんにせがまれて、探し出したアルバムの中のサンマリノ切手と再会し、しばし幼い日々を回想する…などというご経験をお持ちの向きも、決して少なくないでしょう。

 サンマリノの一番切手は1877年。これまでに1500種ほど発行されていますが、意外なほど安価なものが多いので、子どものお小遣いでも結構楽しめるのです。


●…現存する世界最古の共和国

 ヨーロッパでもアジアでも、共和国は今ではむしろ当り前の政体ですが、ギリシャやローマの時代はともかく、1789年のフランス革命以前は極めて珍しい存在でした。

 サンマリノの建国は古く、伝説では4世紀の初めに、迫害を受けたキリスト教徒の石工マリーノが、この地に逃れてきたのが起源とか。マリーノは聖マリヌスと呼ばれ、この国の切手にしばしば登場しています。

 11世紀以来、正式な共和国となり、歴代のローマ教皇から独立を保障され、イタリアに遠征したナポレオンもその独立を認めています。それどころか、彼は国土の余りの狭さに同情し、もう少し領土を与えようとしましたが、当時の大統領はその申し出を断ったそうで、この国の《ヨーロッパ切手》にもその故事が描かれています。 イタリア統一運動では、革命の闘士ガリバルディなどを一時かくまったこともあって、イタリア政府は統一後も独自の共和国として認めてきました。彼の肖像は、たびたびサンマリノの切手に描かれています。

 この国では紙幣はイタリアのものを使用していますが、コインには独自のものがあります。これらの一部は切手でも紹介されましたが、切手と同様、むしろ収集家目当てのものと言えるでしょう。


微少国家と切手

 市町村の合併が比較的容易にできる日本とは異なり、地域の伝統文化を重んじるヨーロッパでは、自治体の合併は至難の業である。サンマリノのように古くからの小国が、多くの戦乱をくぐり抜けて生き残ってきたのも、こうしたヨーロッパの伝統の力に支えられたからにほかならない。

 面積・人口とも、せいぜい市町村程度の国々を、《ミニ国家》などと呼ぶこともあるが、政治地理学的には 《微小国家、Micro-state》 に分類される。

 世界的にみると、現代はまさに《微小国家》の時代でもある。民族運動の高まりが、かってのヨーロッパ列強の属領となっていた太平洋や大西洋などの小さな島々にまで及んだ結果、それらがこぞって主権国家として独立したためである。

 これらの国々は、一般に資源に乏しく、経済的な基盤が弱い場合が少なくない。一国一票制をとる国際会議などでは援助≠ネどの誘いに乗って新興の微小国家は、とかく大国の思惑によって行動することが指摘されている。

 こうした小さな島々にも、平等に与えられている《資源》こそ切手であり、ときに収集家向けのコインであったりする。この《資源》の開発者サンマリノは、さすがに無計画な乱発で顧客≠失う愚をさけ、その巧みな利用を心がけるばかりでなく、しばしば、美しい超低額の切手発行でジュニアの育成さえも行ってきたのは、まさに老舗の貫禄といえよう。

サンマリノ 地図  サンマリノ共和国  Republic of San Marino
 面積:61.19ku
 人口:2万5058人('95年1月)
 首都:サンマリノ(4498人)
 住民:大部分がイタリア人。
 言語:イタリア語。
 宗教:カトリックが国教、人口の95%が信者。
 通貨:ユーロ
国旗
 国  旗
世界遺産/サンマリノ歴史地区とティターノ山 6種シート
世界遺産/サンマリノ歴史地区とティターノ山 6種シート
イタリア内、リミニ南西に位置する世界で五番目に小さな国サン・マリノ共和国は、4世紀初頭にローマ帝国の迫害から逃れるためにキリスト教信者達がティターノ山潜伏したことに遡る世界最古の共和国。

アドリア海を望む標高739mのティターノ山山頂の首都サン・マリノには、この国を1700年に渡って周辺都市国家の侵略から守りつづけた難攻不落の要塞がその姿を今に残し、中世の街並みが保存されている。

2008年7月世界遺産に登録された首都サンマリノの歴史地区には、サンマリノの象徴で国旗にも描かれている三つの要塞の塔、城壁、門、防御塁のほか14-16世紀の修道院や18、19世紀の聖堂、劇場、政庁舎などの建築物がある。

切手図案は、第2の塔(チェスタの塔)、サント教会堂(サンマリノ教会堂)、政庁舎と自由の女神像、Contrada Omerelli、Contrada delle Mura、第1の塔(ロッカ・グアイタ)。シート地にティターノ山山頂の中世の姿と現在の姿が示されている。

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