世界切手国めぐり

バーレーン

バーレーン ─世界切手国めぐり─
●…ペルシャ湾の首長国
 アラビア半島東岸のペルシャ湾に浮かぶ、淡路島よりひとまわり大きなバーレーン本島と、その周辺の小島から成るのがバーレーン国。アラビア半島特有の《首長国、Sheikdom》です。《Sheik》は、元々このあたりでは遊牧民の《族長》を意味していましたが、最近は《Emir》と同様、《首長》と訳すのが一般的です。独特のかぶりものを付けたシェイクの肖像は、いつも切手に描かれているので、おなじみの方も多いでしょう。

 英国は、インドに近いペルシャ湾には早くから関心を持ち、オスマントルコの弱体化に乗じて20世紀の初めには、クウェートに拠点を獲得しています。バーレーンの族長ハリファ家も、すでに19世紀末には英国の保護下に入っていました。

●…石油産出国へ
 かつて小規模な漁業やナツメヤシ(デーツ)の栽培などで暮らしを立てていたバーレーンでは、すでに1930年代からアメリカ系の石油会社が油井を掘りあて、’50年代からは、次第に石油収入によって道路や港湾などの整備が進められていきます。同時に、教育制度や社会制度なども整えられていきました。

 1968年に、英国が1971年以後のスエズ以東からの撤退を宣言したとき、湾岸の首長国は、それぞれ自立のための方策を考えます。その一つは、カタールやバーレーン、ドバイ、アブダビなど多くの首長国が一体となった連邦化でした。しかし、なかなか利害が一致しません。とくに石油収入の多い国々は、その一部を連邦政府に提供することになるからです。
 結局、アブダビやドバイを中心とした《アラブ首長国連邦》が誕生しますが、バーレーンはカタールと共に連邦に加わらず、自立の道を選びました。

 最近は、石油だけに依存してきた従来の経済体質の改善を進めており、切手でも紹介されているように、アルミ精錬なども手がけています。アルミの精錬には大量の電力が必要ですが、お手のものの石油で発電すれば、低コストで可能だからです。

 また、石油も原油のままでなく、精製して付加価値を付けることも目指されており、1997年には石油コンビナートが完成し、記念切手も発行されました。

●…切手の特色
 バーレーンの一番切手は、1933年。英領インド郵政によって始められ、インド切手に《BAHRAIN》を加刷したものでした。
 戦後、インドが独立に向かうと英国郵政に代わり、1948年からは、英国切手に地域名が加刷されたものになりました。

 正刷切手の発行は1960年。当時の首長の肖像が描かれています。
 1971年に英国の保護領から独立すると、国づくりの成果が紹介され始めました。

 先代の首長が即位した記念日の12月16日は、《国家の日》とされ、毎年、国づくりの成果を誇示する記念切手が発行されていましたが、最近は単に即位の周年を祝うだけになったようです。
 小さな島国ではありますが、サッカー・チームを育成しており、ワールドカップにちなむ切手がすでに何回か発行されています。


■アラビア半島沿岸地域の英国切手

 英国は、インド航路の船の寄港地ともなるアラビア半島の沿岸地域には、早くから領土的関心を抱いていたが、20世紀初頭のクウェートを手始めに、バーレーン、オマーン、カタールと次々に保護国として、その勢力下に収めていった。《保護国》は、一般に内政に関しては自治権を持つが、外交権や軍事権は第三国に委ねるものである。通常、外交権を失った国は、国際的には独立国として認められていない。

 これらの地域は、当初英領インド郵政の管轄下にあったが、インドが自治領となった翌年の1948年以後、英国郵政が直接管轄することになる。英国は地域名の加刷こそ行いながらも、本国の普通切手ばかりでなく、記念切手までこれらの地域で発行していた。アラブ・ナショナリズムの高まりの中で、何とも無神経なことであると、誰しも思ったに違いない。

 しかし、この地域における当時の住民の識字率を見ると、最も高いクウェートでさえ55%、次いでバーレーンが40%、オマーンとカタールがそれぞれ25%と20%。こうしたデータを見ると、ある程度納得がいく。ちなみに最近ではバーレーンが85%、クウェートが80%、オマーンも60%と飛躍的に高まっている。これらの国々では識字運動の切手がしばしば発行されているが、アラビア半島の国々にとって、識字は大切な国づくりの一環であり、郵便事業の発展とも関連がありそうだ。

 どなたか、各国の識字率の向上と郵便需要の相関を卒業論文のテーマにされる、フィラテリストの大学生はいないだろうか。

国際識字年 1977年


バーレーン国 地図
 バーレーン国 Kingdm of Bahrain
 面積:706.6平方km
 人口:67万人(’99年)
 首都:マナマ(15万人)

 住民:バーレーン人(アラブ系)が約60%他にインド、パキスタン、イラン人など。
 言語:公用語はアラビア語。 ビジネスでは広く英語が話される。
 宗教:イスラム教が84% (シーア派約75%、スンニ派約25%)
 資源:石油、天然ガス
 通貨:バーレーン・ディナール

国旗
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