切手でトリビア

キラキラ光る美の女神


長野版「縄文のビーナス」

【1998年発行】

今回ご紹介するのは「縄文のビーナス」を描く1枚です。
「縄文のビーナス」と呼ばれるのは、1986年に長野県茅野市の八ヶ岳南麓にある棚畑遺跡から出土した、女性をかたどった土偶です。

「ビーナス=美の女神」と呼ばれるだけに、大きく誇張された妊娠状態のお腹、ふっくらした下半身など、女性の特徴がよく表現されています。
金色の雲母が混じった粘土で作られ、よく磨かれていたので全体がキラキラ光って見えるところも「ビーナス」らしいところでしょう。

土偶は縄文時代に祭礼用に使用された土器で、現在までに1万5千個以上の土偶が出土しているそうですが、そのほとんどがわざと壊された状態で発見されるのに、この「縄文のビーナス」はまったく壊されていない状態で出土しました。
棚畑遺跡は150軒を超える住居跡のある大規模な遺跡で、「ビーナス」は住居に囲まれた祭礼用広場の小さな穴の中に横たわった状態で発見されました。

「ビーナス」は身長27センチ、体重2キロあり、土偶としては大型の部類に分類されるそうで、貴重な学術資料として出土から3年後の1989年には国宝に指定され、現在は茅野市の尖石(とがりいし)縄文考古館に収蔵・展示されています。

「ビーナス」は故意なのか偶然なのか、左足よりも右足が少し短く、それがまた微笑ましい印象を与えているようです。
切手の中の「ビーナス」は八ヶ岳を背景に、左足を前に出してポーズを決めているように見えますが、もともと右足が短いのです。
この「ビーナス」はどんな人がどんな想いで作ったのか、壊されなかったのはなぜなのか、そして右足はわざと短くしたのか、永遠の謎に包まれた美の女神様です。

長野版「縄文のビーナス」


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